みんなの人権を守るためにあなたも救援会へ

布川事件

布川事件

布川事件、水戸地検が控訴を断念し、無罪が確定

 水戸地裁土浦支部は2011年5月24日、布川事件についての再審裁判判決で、桜井昌司さんと杉山卓男さんに強盗殺人罪について無罪判決を下していましたが、水戸地検控訴期限の6月7日、控訴断念をは発表し、両氏の無罪か確定しました。

救援会愛媛県本部が松山市と宇和島市で宣伝行動

 布川事件再審裁判での無罪判決をうけて、日本国民救援会愛媛県本部は、判決日の5月24日の夕方は松山市大街道で、また翌日の25日の昼すぎには宇和島市・きさいや広場で、布川事件に無罪判決が下ったことの報告と水戸地検に「控訴するな」を声を寄せることを訴える宣伝行動をおこないました。
 この宣伝行動では、ハンドマイクとチラシで判決結果の報告と地検への働きかけ訴えましたが、通行者の中にはすでにマスコミ報道で判決結果を知っている人も多くおり、「無罪判決が出てよかったですね」「警察・検察はひどいことをしますね」など好意的な反応をしてくれる人がたくさんいました。

布川事件再審裁判で無罪判決

 水戸地方裁判所土浦支部は2011年5月2日、茨城・布川事件の再審裁判で桜井昌司さんと杉山卓男さんに無罪の判決をだしました。

画像の説明
 布川事件は、1967年8月30日朝、茨城県北相馬郡利根町布川で、独り暮らしの男性(62歳)が自宅8畳間において死体で発見され、桜井昌司さん(当時20歳)と杉山卓男さん(当時21歳)が別件逮捕され、厳しい取り調べによりウソの自白に追い込まれ、強盗殺人罪で起訴され、無期懲役の刑を科された事件です。
 布川事件は、国民救援会が40年近く支援してきた事件であるとともに、戦後死刑・無期懲役という重罪事件で再審を勝ち取った7番目の事件です(免田・財田川・松山・島田・梅田・足利の6事件に続いての再審無罪)。
 また、布川事件は、別件逮捕に始まり、脅し、偽計、誘導による自白と証言の強要、さらには証拠の捏造から公判での偽証など、捜査機関があらゆる手段を駆使した「えん罪のデパート」とよばれた違法捜査の連鎖によって無実の者を有罪に追い込んだ事件です。
 今回の無罪判決を確定させることは、警察・検察の違法捜査を断罪し、日本の刑事司法の民主化にとって重要な意義を持ちます。
 こうしたことから、日本国民救援会は、多くの団体・個人が水戸地検に「控訴するな」の要請をすることを呼びかけています。

【要請先】水戸地方検察庁
〒310−8540 水戸市北見町1−1
電話:029-221-2196(代) FAX:029-222-2240

布川事件で最高裁が再審開始を決定

 布川事件で最高裁第2小法廷は2009年2月15日までに検察側の特別抗告を棄却し、再審開始を決定しました。これについて日本国民救援会、布川事件桜井昌司さん杉山卓男さんを守る会、再審・えん罪事件全国連絡会は12月15日、連名で次の声明を発表しました。

【声明】 
 本日、最高裁判所第二小法廷(竹内行夫裁判長)は、冤罪「布川事件」の裁判のやり直しを命じた請求審・即時抗告審の決定を支持し、検察の特別抗告を退ける決定(14日付)を関係者に送付した。桜井昌司さん・杉山卓男さんの無実の訴えがようやく実を結び、ついに再審開始決定が確定したのである。
 事件発生から42年という長きにわたって冤罪を晴らすために文字どおり人生をかけてたたかってきた桜井さん・杉山さんのふたりを心から祝福し、その喜びを共にしたい。
 同時に、ここまでふたりを苦しめてきた警察・検察の不正義にあらためて深い怒りを禁じ得ない。今回の再審請求審では、一・二審を通じて、ふたりをウソの自白に追い込み、目撃証言を誘導し、録音テープを変造してまで無実の者を犯人に仕立て上げた取調官の違法な捜査手法と、捜査当初から明らかになっていた無実の証拠を隠し続け、法廷では虚偽の答弁を弄し、警察官の偽証を許して裁判所を欺き続けた検察の違法な訴訟活動が明らかとなった。にもかかわらず、検察は何の反省もないどころか、前例のない特別抗告という暴挙に及び、今日に至るまで無辜の救済に背を向け続けてきた。警察・検察は真摯に過去の過ちを認めて反省し、ふたりに謝罪すべきである。
 さらに、自白偏重の悪弊を断ち切れず、ふたりの無期懲役刑を確定させた原審裁判所にも猛省を求めなければならない。29年余にわたる投獄をはじめ、犯人に仕立てられたふたりの42年余の人生は決して取り返しがつかないのである。
 ところで、この間数々の事件で誤判が明らかとなり、今年に入ってからも足利事件の菅家利和さんの再審が開始された。これらのほとんどが布川事件と同様に、警察・検察の見込捜査や違法な取り調べ、そして自白強要により生み出され、裁判所においてこれを漫然と、あるいは平然と追認してきたものであった。私たちは、あらためて取調べ全過程の可視化や検察証拠の全面開示など、抜本的な冤罪の再発防止策を講じることを求めるとともに、裁判所における、良心を捨て去った自由心証主義の濫用に対して深甚な警告を発するものである。
 警察・検察がふたりを冤罪に陥れた違法捜査の実態は、再審公判において一層白日のもとに晒されるであろうし、かつ、再審公判においてはより具体的で厳粛な事実認定がなされなければならない。その検証と反省なくして二度と冤罪をつくらないという保証はないと心得なければならない。
 今年5月から裁判員裁判が始まり、国民の司法への関心はかつてなく高まっている。再審公判においては、一日も早くふたりの無罪を確定させることは当然であるが、同時に、裁判所自らが構造的な誤判原因を解明し、冤罪の再発防止に努めなければならない。そのことこそがふたりへの最低限の謝罪であり、国民の司法への信頼を取り戻す方途である。
 今回の決定は、当事者と弁護団、そして全国の支援運動が力をあわせて勝ちとった成果である。私たちは、ふたりが一日も早く再審公判において無罪判決を勝ちとれるよう、最後まで全力をあげてふたりの支援活動を続けていく決意である。

2009年12月15日

布川事件桜井昌司さん杉山卓男さんを守る会

日本国民救援会中央本部

再審・えん罪事件全国連絡会

東京高検が布川事件で不当にも特別抗告。国民救援会中央本部が抗議声明

 去る7月14日に東京高裁が「再審開始」決定をだした布川事件で、東京高等検察庁は7月22日、最高裁に特別抗告をおこなうことを決定しました。
 検察は、これまで無罪証拠を隠し続け、桜井昌司さん、杉山卓男さんの貴重な人生を奪ったうえ、高裁でもほとんど立証活動をせず、無用に引き延ばしばかりをはかりました。今回、最高検が特別抗告を行ってことは絶対に許せません。
 国民救援会中央本部は、同日、「検察庁へ抗議の声をあげましょう」「最高裁で検察の不当な姿勢を厳しく批判し、一日も早く再審開始決定を確定させましょう」との呼びかけました。
【抗議先】
〒100-8904 千代田区霞ケ丘1−1−1
最高検察庁 桶渡俊秋・検事総長 電話:03-3592-3611

〒100-8904 千代田区霞ケ丘1−1−1
東京高等検察庁 大林宏・検事長 電話:03-3592-5611

日本国民救援会中央本部は、同日、この特別抗告に抗議する以下の声明を山田善二郎会長名で発表しました。

布川事件での検察の特別抗告に抗議する

2008年7月22日

日本国民救援会 会長:山田善二郎

 本日、東京高等検察庁は、水戸地裁土浦支部の再審開始決定を支持した7月14日の東京高裁決定に対して、特別抗告を行った。この検察の申し立ては愚行かつ暴挙であり、日本国民救援会は深い憤りをもって厳重に抗議し、糾弾する。

 そもそも検察は、自らが申し立てた即時抗告審において、ほとんど立証活動をせず、徒に原決定を非難するだけの訴訟行為に終始したのである。

 また、桜井昌司・杉山卓男両氏が拘置所移監後の検察官の取調べにおいて、警察に強要された自白を翻意したところ、代用監獄に逆送し「虚偽自白を誘発しやすい環境に置いた」(高裁決定)のも、さらに、二人の無実を証明する証拠を40年間にわたって隠し続けてきたのも、ほかならぬ検察であった。本件冤罪には、検察が度を超えた積極性をもって関与してきたものである。さらに、検察・警察いずれの手によるものであるかは未だに明らかになっていないが、桜井・自白録音テープが13ヶ所も改ざんされ、捜査報告書や供述調書まで改変されていたことも、社会に大きな衝撃と憤激を呼んでいる。

 本件における原審は、事実上自白だけを唯一の証拠となって、桜井・杉山両氏は29年もの長きにわたり強盗殺人犯の無期懲役囚と投獄されたのであった。しかし、元もと「検察の手元に留め置かれていた証拠だどが最初から法廷に出されていれば、有罪とするには無理があった」(7月18日朝日新聞社説)事件なのであり、これらの「新証拠が、確定審における審理中に提出されていたならば、請求人らを有罪と認定するには、合理的な疑いが生じていたというべき」(高裁決定)との判断は、万人が、検察に対する怒りとともに、同意・共感する当然のものである。

 報道によれば、「再審開始に必要とされる証拠の新規性や明白性は乏しい」との検討・判断が特別抗告の理由であるとされたいるが、上記に指摘・糾弾したとおり、事件と審理の中核部分にかかわる検察の違法な訴訟行為の経過から、特別抗告は、再審の法理上違法かつ不当であるだけでなく、人倫にも反する引き延ばし行為であるといわねばならない。

 水戸地裁・東京高裁という二度にわたる再審開始決定は、当事者と弁護団、そして全国の支援運動が、世論の支持を背景に力をあわせて勝ちとった成果である。それだけに、今次の特別抗告審は、検察の犯罪性が、社会からいっそう広く批判・糾弾される場になるだろう。日本国民救援会は、二人の奪われた人権を回復するため、一日も早く再審を開始して無罪判決を勝ちとる決意を新たにし、引き続き全力をあげて支援活動を続けていくことを表明するものである。

東京高裁が布川事件の再審を支持。救援会中央本部などが声明発表

 国民救援会がえん罪事件として支援をしてきた布川事件の第2次再審請求抗告審で、東京高裁の門野博裁判長は9月14日、「犯行時間帯の目撃証言や捜査段階の自白はいずれも信用性に重大な疑問がある」として、水戸地裁土浦支部の再審開始決定を支持し、検察側の即時抗告を棄却する決定をしました。
 再審開始決定を勝ち取った桜井昌司さん、杉村卓男さんは支援者に喜びのお礼をのべました。
 救援会中央本部は、検察が特別抗告断念まで全国から電報、緊急団体署名を集中することを呼びかけています。
 なお、この再審開始決定をうけて、国民救援会中央本部、再審・えん罪事件全国連絡会、布川事件桜井昌司さん杉山卓男さんを守る会は同日連名で下記の声明を発表しました。

声     明
 本日、東京高等裁判所第4刑事部は、えん罪「布川事件」の「再審開始決定」を下した水戸地方裁判所土浦支部決定を支持し、検察庁の即時抗告を退ける決定を下した。事件発生から41年、遅きに失したとはいえ、一審に続いて高裁が確定判決の誤りを断罪し、桜井昌司さん杉山卓男さんの『再審・無罪』の道を切り開いたことを高く評価する。
 高裁の審理でも、弁護団は次々と新証拠を提出して、殺害「自白」の矛盾や録音テープの改ざん、目撃証人供述の変遷と誘導の経過、アリバイ成立等あらゆる角度から攻勢的にふたりの無実を立証した。一方、即時抗告を申し立てた検察側はほとんど立証活動をせず、徒に原決定を非難するだけの公判活動であったことは好対照である。
 この抗告審を通して、原決定の正しさがより一層証明された。原審の木村鑑定に続く佐藤喜宣鑑定や職権による高取健彦鑑定でも殺害という最も重要な部分の自白の信用性が覆され、新たに提出された供述調書等から「目撃証言」の証拠価値が無いに等しいことが明白となった。
と同時に、取調官の違法な捜査手法と、無実につながる証拠を隠し続け、無実の者を有罪に追い込んだ検察官の公判活動の違法性も明らかとなった。別件逮捕に始まり、アリバイの否定、死刑の脅しなど、代用監獄における警察の誘導、偽計、脅迫によって虚偽自白を誘発し、拘置所で否認に転ずると代用監獄に逆送までして再自白をせまったこと。桜井・自白録音テープが13ヶ所も改ざんされ、捜査報告書や供述調書まで改変していたこと。検察官が法廷で虚偽の答弁を弄し、警察官の偽証まで許して裁判所を欺き続けたこと等々である。
 布川事件はこうした警察・検察の不正義とこれを見過ごした裁判所によって生み出されたえん罪事件である。その結果、ふたりは強盗殺人犯の無期懲役囚として29年間も投獄され、青春も自由も奪われ、家族と社会から断絶され、親の死に目にも会えず、41年も犯罪者としての人生を強いられたのである。
 検察庁は、本事件におけるこうした警察・検察側の対応を厳しく反省し、裁判所の決定に従って速やかに再審に応じることを強く求める。抗告審は本件即時抗告自体が理由のないものであったことを断じたのであるから、仮にも特別抗告に及ぶような暴挙は断固許されないことを自覚すべきである。
 この間、富山県のいわゆる氷見事件、鹿児島県の志布志事件、北九州市の引野口事件等相次いでえん罪事件の無罪が確定した。今なお布川事件に共通する警察・検察の見込捜査や違法な取り調べ、自白強要が多くのえん罪を生み出している。
 私たちは、一日も早く布川事件の再審によって無実のふたりの無罪を確定させることとあわせて、構造的な誤判原因を解明し、取り調べ全過程の可視化・記録化や検察証拠の全面開示など、抜本的なえん罪の再発防止策を講じることを求めるものである。 
今日の決定は、当事者と弁護団、そして全国の支援運動が力をあわせてかちとった成果であることに確信を持つと同時に、ふたりの奪われた人権を回復するため、一日も早く再審無罪判決を勝ちとる決意を新たにし、引き続き全力をあげてふたりの支援活動を続けていくものである。
   2008年7月14日
                      日本国民救援会中央本部
                      再審・えん罪事件全国連絡会
                      布川事件桜井昌司さん杉山卓男さんを守る会

愛媛新聞が布川事件高裁決定で社説

 愛媛新聞は15日付け社説で布川事件高裁決定に関して「再審無罪に大きく近づいた」との見出しで論評を発表し、「2人は約40年以上も身の潔白を主張している。検察は特別抗告を断念し、再審公判手続きに移行すべきである」と主張しました。

布川事件 再審無罪へ大きく近づいた

 一九六七年に茨城県で男性が殺害された「布川事件」で、強盗殺人罪で無期懲役が確定した元被告二人が求めていた再審が開始される可能性が強くなった。
 東京高裁がきのう、「新証拠によると確定判決の判断を維持することができない。目撃状況と自白という重要な二点で証拠が揺らいでいる以上、そのほかの点を判断するまでもなく有罪の確定判決には合理的疑いが生じている」と結論づけて即時抗告を棄却したためだ。
 これまで再審の請求に当たっては「無罪とするべき明らかな新証拠」という要件を厳しく解釈しがちだった。しかし、今回の高裁決定は「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則を重視、再審への道を開いたといえる。
 検察側は最高裁への特別抗告を検討するだろうが、認められるのは憲法違反や判例違反がある場合に事実上限られている。再審開始が維持される公算は大きい。
 再審が開始されれば無期懲役か死刑の確定した事件では八七年の「島田事件」以来となる。七六年以降の六件の再審はいずれも無罪となっている。布川事件は再審無罪へ大きく近づいたといえる。
 確定判決では自白が唯一の直接証拠だった。このため最大の争点は多くの再審請求事件と同様に自白の信用性だった。
 高裁決定は自白について、著しい変遷や二人の違いを指摘するなど、自白の不自然さ、客観証拠に合致しない点を丁寧に判断。「実際体験していないことを繰り返し追及されて供述の変遷を重ねたとみられる」とも指摘した。
 二人は窃盗事件で逮捕され、強盗殺人事件を追及されている。自白偏重の捜査手法とともに、いわゆる別件逮捕に始まる捜査の不適切さも指弾した。
 警察署での代用監獄の在り方も批判した。拘置所で否認に転じた二人が再び警察署で自白した経緯に触れ、「虚偽の自白を誘発しやすい環境においたことは問題」と指摘している点だ。
 鹿児島県議選の公選法違反事件など虚偽自白の強要による冤罪が後を絶たない。捜査当局は布川事件の高裁決定を重く受け止める必要がある。
 二人のうち一人が自白した状況を録音し、検察が証拠提出したテープについては「取調官の誘導をうかがわせる」とした。裁判員制度の実施を目前にしている。検察や警察の都合のいい部分だけの可視化では意味がない。冤罪を防ぐためにも、捜査当局には取り調べ全過程の録音・録画を求めたい。
 二人は約四十年以上も身の潔白を主張している。検察は特別抗告を断念し、再審公判手続きに移行すべきである。

powered by Quick Homepage Maker 4.91
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional